この夏は、心のふるさとであり、10年近く住んでいたインドに4年ぶりに帰省することができました。
現在ではコロナも落ち着き、ビザを取得すれば入国できるようになっています。
我が家には心臓病を患う犬がおり、この子の「心臓が長持ちしますように」という願いがずっとあり、ガンジス川で祈りを捧げたいと思ったのです。
目指すはヒマラヤの麓、ガンジス川の流れるリシケシという小さな町です。今回はデリーからタクシーで移動したこともあり3泊もできましたが、これまでは2泊していました。1泊しかできなかったこともあり、その時は、リシケシに住んでいる日本人の旧友に呆れらたものです。
川沿いには土産物屋が軒を連ねており、CDショップからは、4年前に大音量で流れていたShiva shambhoという歌が以前より小さい音量で流れていました。あれから4年間、来る日も来る日も、同じ歌が流れていたのでしょうか。
リシケシにはparmarth niketanというヒンドゥー教の施設があり、日没時にはganga aartiというガンジス川への祈りが行われます。その様子がyou tubeでライブ配信され(最近は配信されない日もあります)、私は日本でそれを見るのを大変楽しみにしているのです。7月から9月頃までは雨季ですので、増水したガンガーを見ては、「ああ、今日は大雨が降ったんだなぁ」と居ながらにしてリシケシの様子がわかります。
いつも見ているガンガー、いつも見ているシヴァ神の座像ですが、肉体を引き連れての旅は長かったなぁ。
夕方、parmarth niketanのガート(川に降りていく階段)に座っていると、膝の上に置いた私の右手をトントンと叩くものがありました。首輪をしている犬の左前足でした。構ってほしいようでしたので背中を撫でてから手を元に戻すと、またトントンと催促してきました。この人懐っこい犬は、翌日もガートに座っていた私の背に頭を擦りつけて甘えてきました。肩や背中を撫でてやるとしっぽを振って喜び、日本に置いてきた2匹の飼い犬を思い出さずにはいられませんでした。
ガンジス川の水を手に掬うと、飼い犬の心臓が長持ちしますようにという祈りの気持ちはどこかへ消えてしまい、願うことではなく、受け入れることこそが大事だと気づかされました。
病気であることをそのまま受け入れ、最期までに大切に世話しよう。
そう思うと、心も軽くなりました。